スポーツジムの内装工事について

人々の健康志向の高まりを受け、街中にはスポーツジムが増えています。現在、独立してジムを新たに開業しようとお考えの方もいらっしゃると思いますが、スポーツジムの運営は、なかなか独特なものがあるので、しっかりと段階を踏みながら計画を進めていく必要があります。この記事では、スポーツジムの種類や開業までの流れとともに、内装工事のポイントについてご紹介していきます。

主なスポーツジムの種類

スポーツジムは大きく「フィットネスジム」と「パーソナルジム」に分けられます。

フィットネスジム

フィットネスジムは、おそらく多くの人々が想像しているスポーツジムです。さまざまなマシンが置かれていて、基本的には会員が自由にトレーニングできるようになっている施設です。ジムの規模は比較的大きく、会員が使えるロッカーのほか、サウナやプールが備わるジムもあります。料金は比較的リーズナブルですが、追加料金を支払わないとトレーナーに指導してもらうことはできないジムが多いようです。

フィットネスジムは規模が大きいため、物件はかなり限定されます。プールはビル内の物件の場合はほぼ設置は不可能ですし、設置が可能な場合でも、防水工事などが必要になり、かなり多くの資金を用意しなければならないでしょう。

パーソナルジム

パーソナルジムは、会員とトレーナーがマンツーマンでトレーニングをおこなうジムです。マンションの部屋など、規模が小さく、マシンの種類も少ないのですが、密度の濃いトレーニングができます。それぞれの会員のためにメニューが組まれるため、結果が出しやすいといわれていますが、その代わり、料金は高額です。

マンションの部屋など、小さなスペースでのトレーニングになるため、マシンの音や声が響きやすく、壁や床に防音処理を施す必要があります。フィットネスジムのように物件が限られることはあまりないので、オープンへのハードルは比較的低いといえるでしょう。

スポーツジムを開業するまで

スポーツジムを開業するまでの流れは、ほかのビジネスを始める場合とそれほど大きく変わるわけではありません。スポーツジム開業までの一般的な流れをご説明しましょう。

ジムのコンセプト作り

スポーツジムのビジネスは、コンセプト作りから始まります。オープンしようとしているジムをどんな人たちに使ってもらい、どんなジムにしたいのかを、細かいところまで決めます。

「忙しい人たちが利用できるように早朝や深夜も営業するジムなら、郊外よりも、大都市の中心部にオープンさせたほうがよいだろう」

「住宅街の主婦がターゲット」

など、コンセプト、ターゲットを詳細な調査をおこなったうえで、できるだけ詳しく設定することが重要です。

資金の確保

ほかのビジネス同様、スポーツジムを開業する際も、初期費用と開業後の運転資金が必要です。

たとえば、パーソナルジムのオープンに当たっては、物件にもよりますが、物件そのものを取得するのにかかる費用が150~200万円程度、マシンに100万円、内装工事に40万円前後かかります。ビジネスでの契約は、保証金で家賃の最低半年分とられてしまうため、物件取得費用はどうしても高額になります。

開業後の運転資金の内訳は、家賃が15万円~、光熱費が20万円程度、広告宣伝費に20万円程度はみておく必要があります。そのほか、トレーナーを雇うと人件費がかかります。

パーソナルジムを始めるなら、初期費用と運転資金を合わせて、できれば500万円は用意しておきたいところです。

物件を探す

フィットネスジム、パーソナルジム、どちらを始めるにしても物件が必要です。ここで重要になるのが、最初に決めたコンセプトとターゲット、そしてそれらに合った場所です。物件は、ターゲットがジムに通いやすいエリアで探します。入念に調査しましょう。トレーニング用のマシンは重量がかなりあるので、床の耐荷重はしっかりチェックする必要があります。普通のマンションの場合、耐荷重は180kg/㎡、テナント用の物件の場合は300kg/㎡までです。

内装工事

物件が見つかったら、内装工事を業者に依頼します。この際、やはりコンセプトどおりのジムを作るために、イメージをしっかり業者に説明します。

マシンの購入

内装工事と並行して、ジムで使用するマシンを購入します。マシンも、コンセプトで決めたとおりのものをそろえましょう。あれもこれもとたくさんマシンを購入してしまうと、床が重さに耐えられなくなる可能性がありますし、大きなマシンをだと動線が確保できなくなる可能性があります。

ちなみに、フィットネスジムでもパーソナルジムでも、ベンチプレスやスミスマシンなどの機材は必須です。フリーウエイト用の機器も用意しておきましょう。

開業届を提出する

すべてが整ったら、税務署に開業届を提出します。開業届は、開業から1ヶ月以内が提出期限なので忘れないようにしましょう。ただ、焦る必要はありません。人もモノもすべてそろってからでOKです。

ジムの内装工事について

先ほど、例としてパーソナルジムの開業にかかる資金についてご説明しました。では、フィットネスジムを開業するとなると、どれぐらいの資金を用意しなければならないのでしょうか?

フィットネスジムは、パーソナルジムよりもかなり規模が大きくなるため、資金もかなり必要です。平均的な大きさ(40坪)の物件を利用する場合、開業資金は1500万円ほど必要だといわれています。これには内装工事の費用は含まれていません。

その内装工事の費用は、やはり40坪の物件で800~1200万円ほどみておく必要があります。ただ、この広さだとマシンでトレーニングするだけで限界です。ダンススタジオのようなスペースを設けるのであれば、さらに広い物件を探す必要があります。

ジムの内装工事における注意点

ジムの内装工事では、まず、先ほどご紹介した耐荷重を確認しておきましょう。

普通のマンション=180kg/㎡まで

テナント用=300kg/㎡まで

この数値は、設計図を見ればわかるので、内装工事の業者とともにチェックしておきましょう。

耐荷重のほかに、床が傷つかないように対策する必要があります。特にマンションの一室で開業する場合は防音対策も兼ねて、ゴム製のマットなどを敷きましょう。

費用を抑えるためのアイデア

スポーツジムの内装は、見栄えがよければ少し価格の安い材料を使用しても構いません。すぐにキズがついたりこわれたりしてしまうのでは問題ですが、明るい、スポーティな雰囲気が出せれば問題ないでしょう。ただし、プレミアムなジムの場合は素材もプレミアムなものを使う必要があります。

壁の数を少なくすることでも費用は抑えられます。なぜかというと、壁が少なければその分、内装や設備工事にかかるお金も少なくて済むからです。ただ、無理に壁を取り除くと、かえってお金がかかるのでご注意ください。

本格的に費用を抑えるなら居抜き物件を探す

フィットネスジムを始める場合でも、費用を抑えるなら居抜き物件がおすすめです。ただし、フィットネスジムだった居抜き物件というのはなかなかありません。ただ、見つかればマシンもそのまま使えるので、かなり資金をセーブすることができるでしょう。規模が大きい分、フィットネスジムの内装工事費用は高くなります。よい居抜き物件が見つかれば、開業後の運転資金にも余裕が出るため、初期に資金をあまり用意できない場合は、根気よく居抜き物件を探しましょう。